8.シグナルとノイズ


デイトレにもどる

   
 
 「見切り千両」「利食い百人力」「買い2分に、売り8分」等と言われる。株の取引において重要なのは売りだ、という事だ。

 買った株が思惑がはずれて下がったり、狙い通り上がっている株が下がり始めたら売らなければならない。ところが、株価は一直線に上がったり下がったりするものではない。小刻みに上下を繰り返しながら、長い目で見ると上がったり下がったりしている。

 この小刻みな上下動はノイズだ。ノイズはランダムウォークで、次の瞬間上がるか下がるかは予知できない。株で儲けようとするならば、株価チャートからノイズを取り除いてシグナル(=流れ)を見抜く必要が有る。


 また、損切りや利食いは、ノイズの振幅以上の点で判断する必要が有る。

(1) 損切り点をノイズより狭く取ると、いつも損切りに引っかかって、いわゆる「損切り貧乏」になる。

(2) 上昇中の株価がちょっと下がっただけで売ってしまうと、まだまだ上がる余地のある株を売ってしまうはめになる。


 このノイズの振幅は、銘柄やその日の場の様子によって変わる。

 デイトレは無数の銘柄を売り買いして儲ける必要は無い。少数のひいきの銘柄を決めて、その動きの特徴を知り、下がったら買い上がったら売ればよいのだ。

 いつも同じ銘柄をウォッチングしていれば、これは「ノイズ」か「シグナル」か分かるようになる。


  
 またノイズは、株価があまり動いていない時は小さく、大きく動く時は大きい傾向がある。

 上昇中のチャートのノイズが小さくなってきたら、そろそろ天井かも知れない。

 チャートがU字底にある時、ノイズが大きくなってきたら(上がるか下がるか分からないが、)とにかく動き始めるシグナルの可能性がある。
  
 ところで、株価の変動からノイズを取り除いてシグナルだけにする操作は「平均」だ。

 一般にシグナルはノイズより変動周期が長いので、時間で平均すればノイズが取り除かれる。

 チャートには長期と短期の平均値のカーブがついているのが普通だ。しかし、当然だが、データは過去のものなので、平均時間を長く取るほど平均値のグラフ表示は遅れる。

 幸い人間には「直感力」という優れた計算機が内蔵されているので、リアルタイムの(つまり平均時間を思い切り短く取った)平均値のカーブを思い浮かべる事が出来る。

 チャート(出来ればローソクより折れ線がよい)をにらみ倒して、心眼でリアルタイムの平均線が見えるようになれば、デイトレで小銭を稼ぐのは思いのままだ。

 ただし、この技は中・長期投資には向かない。日にちが経つと、大人の事情で株価が変動するようになる。つまり、ファンダメンタルが分からない人には儲けられない。それはつまり、素人はプロには勝てないリングだということだ。