ゲルマ・ラジオ
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 何しろ部品が「コイル」「バリコン」「ダイオード」「イヤホン」の4つだけなので、20分程でできてしまう。ノスタルジーを感じている暇もない。
 ハンダゴテをコンセントにさして、コテが暖まる間にコイルを巻く。後は3,4ヶ所ハンダ付けをするだけだ。
 コイルはフィルムケースにエナメル線を巻く。近頃デジカメに押されて、フィルムケースが手元にないのが皮肉なことだ。
 両端は小さな穴をあけて、エナメル線を通して、ほどけないようにする。巻き数は適当でよい。工作用に小分けして売ってあるエナメル線を全部巻いてしまう。ちょうど、フィルムケースにぴったり巻けた。
 本当はこれでは巻き数が足りないが、試しに作るだけなので。
 バリコンを自作するのは面倒なので、買う。これも近頃はデジタルチューニングなので手に入りにくくなったが、通信販売で買える。昔のごついエアバリコンを持っているなら、使うと雰囲気が出る。その場合は、コイルもスパイダーコイルがよい。
 スパイダーコイルは感度が良いわけではないが、タップが出しやすいので、色々調整して性能を突き詰めるのには適している。
 今のクリスタルイヤホンの中身はロッシェル塩ではなくセラミックだと聞いたことがある。
 クリスタルイヤホンは趣味の製作以外に用途はないと思うのだが、こんなものを作り続けてくれるメーカがあるのは実に有り難い。
 昔はマグネチックイヤホンより手に入りやすいくらいだった。
 鉱石検波器の自作も面倒なので、ダイオードを使う。ダイオードはおそらく数千種類が市販されていると思うが、何でも良いわけではない。名前の通り「ゲルマニュームダイオード」を使う。
 昔はSD46が定番だったが、今は何だろう。手元にあった1N60を使った。虫眼鏡でよく見ると、点接触型であることがわかる。
 電灯線にエナメル線を10回位巻き付けてアンテナにする。ちゃんとやるときは30mくらいのアンテナと、釘を埋めただけでも良いからアースをとる。感度が全然違う。
 アンテナを張る場合は、コイルもちゃんと作る。タップをとってアンテナと整合させると、感度も選択度も良くなる。手間をかまわなければソレノイドよりスパイダーコイルの方がタップを出しやすいので、楽しく実験できる。
 ハンダ付けをしっかりすれば、あっけない程簡単にできる。本当に感度が悪いので、ちょっと接触が悪いだけで聞こえなくなる。
 バリコンはできるだけゆっくり回す。うまくできあがっているのに、バリコンをクルクル回して「聞こえない、聞こえない。」という人がある。聞き落としているだけだ。
 はじめてゲルマラジオから音が出たときは、からだがふるえる程感動した。なかばウルウルしながら家族に報告したものだ。あれから40年近くが過ぎた。