ブラックな仕事   2017.2/24


・考え事にもどる

   
 バブルの崩壊の時期から、社会が間違った方向に走り出して、取り返しがつかなくなってきた。

 会社の経営状態が悪化して、立て直す必要が有る。不合理な働き方を改善して、能率を良くしよう。

 いろいろ工夫して、一人ずつの社員が生み出す価値が増えてきた。・・・ここまでは良かった。

 そこからどこへ行くのか、選択肢があったのに、間違った方向を選んでしまった。

A. 給料を上げる→社員がお金を使う→内需の拡大→景気の向上。

B.給料そのままで人を減らす→固定費の削減→経営の改善。

 A を選べば、今頃日本は余裕で立ち直っていただろう。しかし、経営者としてはやむを得ないのかも知れないが、この時B を選んだ企業がほとんどだった。

 その結果、内需の減少→日本経済の悪化→経営状態の悪化→さらに人を減らす、という悪循環に陥ってしまった。

 ここで、間違ってBを選ぶ企業がほとんどだったことには理由が有る。

(1) 日本は貿易立国だという思い込み→世界の企業と競争する必要が有る→競争とは「価格競争」である→最大の固定費である人件費の削減

という判断をしたことがひとつ。

 小学校の時から、「資源もなく、国土の狭い日本は貿易立国しかない」とすり込まれて、信じている人が多い。しかし、日本経済に占める貿易の割合は10%台で、世界的にも低い方だ。

 従って、本当は内需を増やし、輸出に関しては高付加価値の製品に絞るべきだったのに、すっかり逆をしてしまった。

 即ち、内需を減少させ、輸出では価格競争に巻き込まれて、利益率を下げてしまった。

(2) もし経営者が上のことを理解していても、正しい選択をすれば、「自分だけが損をする」ことになる。

 みんなで正しいことをすれば、それがベストだが、自分だけ正しいことをすれば、大損をする。いわゆる「囚人のジレンマ」というヤツだ。

 これは資本主義経済では避けられない。

 昨今では、やっぱりマルクスが正しかったのか、という政治家や経済学者が増えてきた。今まで共産主義国家がうまく行かなかったのは、「早すぎた」という事かも知れない。

 例えば、アメリカのトランプは極右のように言われるが、経済政策に関しては統制経済の方に寄ってきている。後世の歴史ではトランプは共産主義者に分類されるかも知れない。

 それはさておき。間違ったスパイラルに陥った経済の渦を巻き戻すことは、きわめて難しい。仕事はきつく、給料は安いというブラックな状況は当分解消されないだろう。