余呉町菅並を過ぎると民家は全くない。所々舗装が壊れかけているし、落石や倒木で通りにくい所もある。車では難しいだろう。道にアケビの皮がたくさん落ちていたが、見上げてもツルには全く残っていなかった。
 川はせせらぎとなったり、深い谷になったり姿を変えながら続いている。
 クマ注意の看板もダテではない。この道を走っている4時間ほどの間にカモシカ、クマ、サルに出会った。他にも姿は見えなかったが道のすぐ側のヤブで大きな生き物がガサガサする音も何度か聞いた。人があまり来ないので野生動物の天国なのだろう。
 道の所々には狭い平地もあって、おそらくここにかつては小さな山村が有ったのだろうと想像させる。
 川幅が狭くなって、小川の様になってくる頃に余呉町中河内集落に出る。細い山道も国道365号線と合流する。
 中河内からは高時川は細い谷川となって、県境まで国道365号線に沿っている。
 滋賀県−福井県境の「栃の木峠」には余呉高原スキー場がある。ここで高時川の源流を探す旅も終わりだ。
 それはスキー場から出る茶色いドブ川だった。トホホホホのホッ。
 そこに「淀川の源」という碑があった。高時川は琵琶湖に注ぎ、琵琶湖の水は淀川に流れるのだから、考えようによってはその通りではある。それがドブ川だというのがいかにも皮肉だが。