夜叉ヶ池を経由せずに三国岳に登るコースがあると聞いたので、行こうとしたが、林道がすっかりダメになっている。新しい地図には載っていないので(つまり消えてしまったので)嫌な予感はしたのだが、現地に行ってみると車では全然通れない。

 すっかり藪になった林道を歩いて行こうという気もしないので、計画を変更して夜叉ヶ池に向かう。
 坂内村から狭い林道を走って終点の駐車場へ行くより、駐車場から夜叉ヶ池まで行く方が早いくらいだ。

 写真を撮りながらゆっくり登ったのだが、1時間ちょっとで着いてしまった。少し呆気ない。

 福井側から登ると分からないが、夜叉ヶ池の岐阜側のすぐ裏手は岩場になっていて「夜叉壁」と呼ばれる。転落したのも、このどこかだろう。
 登山者が増えて環境が悪化したので、木道を造って池を保護してある。仕方がないだろう。日曜日に半日ゴロゴロしていても誰にも会わなかった昔が懐かしい。夜叉ゲンゴロウも絶滅しそうだという。

 犬を連れて登ってきた人が、池に近づかないようにパトロールに注意されていた。早くパトロールが居なくならないかなあ、とコソコソしゃべっている。これではどうしようもない。
 ちょっと休憩して三国岳に向かう。ライブカメラの辺りから振り返ると、夜叉ヶ池の全景がよく見える。このライブカメラが冬場もちゃんと稼働していると良い画像が見られるのに。このところうまくないようだ。

 地図には書いていないが、「夜叉丸」や「夜叉姫」というプレートがぶら下げてあるピークを2つ越えて三国岳に行く。
 夜叉丸から見ると夜叉ヶ池のすぐ裏手が夜叉壁であることがよく分かる。夜叉丸から夜叉ヶ池に降りる所に少し危ない個所がある。多分夜で足下が見えずに、そのあたりから転落したのだろう。昼間なら注意すれば何でもないのだが。

 中高年向きの登山の本に「ヘッドランプを必ず持って行け。」と書いてある。それを読んで、ヘッドランプを点けて夜間に下山を強行するバカ者が居るのではないかと気になる。
 夜叉姫までは割合と行きやすい。そこから三国岳までは笹がかなり深い。行きは良かったが、帰りにちょっと迷ってしまって、木に登って確認するはめになった。

 まさかと思ったが、ここで人に会った。お互いにシャッターを押す。

 同僚のT君が先週滋賀県側から登ったと言っていた。それらしい赤テープがぶら下がっている。藪こぎマニアにはかなわんなあ。
 遭難した人たちのコースをたどって左千方まで行ってみようかと思うが、三国岳からだと片道1時間程か。今日は三周にも行ってみたいので、やめておく。

 一旦夜叉ヶ池まで戻って、今度は三周ヶ岳に向かう。良い感じに紅葉している。写真を撮りながらボチボチ行く。思ったより遠くて、1時間ほどかかってしまった。
 道がかなり荒れている。明らかにオーバーユースだ。表土が流れて岩が露出している所が何ヶ所も有る。

 夜叉壁の辺りには広範囲に表土が無くなって、鎖場になっているところも有った。以前は簡単に登れたのだが、今はちょっと気をつける必要がある。

 三周ヶ岳に往復する間にも20人ほど出会った。若い人も居たので声をかけてみたら、土日には休みが取れない職場なのだそうだ。成る程。
 2時過ぎに夜叉ヶ池まで戻って下山する。夜叉壁直下で、背広の上下に革靴をはいた男性がペットボトル一つ手にぶら下げて登ってくるのに出会った。

 下山の途中、夜叉姫が身体を清めたという「幽幻の滝」の丁度向かい側の斜面に大きめの滝が見えた。登山コースから離れているが、なかなか良さそうな滝だ。登山路の少し手前に沢に降りるマーキングがしてあったが、これのためか。
 帰りは時間もあるのでゆっくり景色を見ながら車を走らせる。子供達が小さい頃ここに来てお弁当を広げたなあ、と懐かしい。

 以前は林道がこんなに奥まで行ってなかったし、雪崩であちこち寸断されていたので途中まで歩いていって引き返した。

 当時は仕事人間で、休日も出勤することが多かった。子供達ともっとたくさんの時間を過ごすべきだったと今更悔やまれる。