オースティンの "Pride and Prejudice" は、「高慢と偏見」「自負と偏見」「プライドと偏見」などの題で、何度も和訳や映画化がされている。

 同じくオースティンの「エマ」もそうだが、面白いには面白いが、モタモタと長ったらしい小説だ。

 イギリス中産階級の日常や娘達の恋愛を延々と描写しているだけ。ドラマも事件もほとんどない。
 そこへゾンビをうまく混ぜ込んである。設定はほとんどそのままだが、ただ、ゾンビが日常的にうろついている。

 5人の娘達は中国で少林拳を学んだ達人で、ゾンビばかりか人を殺すのも何とも思っていない。

 ゾンビがウヨウヨしていて、しょっちゅう身近で人が死ぬのに、男前の殿方のことばかり考えている。(原文をほとんどそのまま使っているので、当たり前だが。)
 

 上流階級の子弟ならばキョートのドージョーで修行するのに、中国のボーズに習うなんて、とバカにされたり。ニンジャも雇えないのかと皮肉を言われたり。

 ダンスパーティにゾンビが乱入してきて、客が何人か食われてしまったが、おおむね楽しかったと喜んだり。


 書評を読んでいると、先に「高慢と偏見」を読んでおくと、どのようにいじったかが分かって、面白いと書いてある。それはその通りだが、私は逆の方が良いと思う。

 今時の小説を読み慣れた人には、オースティンの小説は読みにくいと思う。「高慢と偏見とゾンビ」は原作の冗長な部分をかなり整理してあるので読みやすい。これを読んで面白いと思ったら、「高慢と偏見」や「エマ」を読んでも良いだろう。

 同時並行で読むのが一番かも知れない。


 ナタリー・ポートマン主演で映画化されるそうだから、是非見てみたい。