インプットとアウトプットの比率

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 仕事術の本や雑誌の特集を読むと、「アウトプットを意識してインプットせよ」と書いてあることが多い。

 では、ある程度のアウトプットをするにはどのくらいインプットすればよいのだろう。




 松本清張や小松左京は、1冊の本を書くのに、トラック一杯分の本を買ったとか、ある分野の得意な古本屋を丸ごと買い占めたとかいう伝説がある。

 小松左京の「日本沈没」は有名なSFだが、これの基本になっているのが、プレートテクトニクスだ。

 プレートテクトニクスは、最近でこそ地震の説明の時などに、誰でも知っているものとして出てくるが、当時は専門家でも知らない人が居たくらいだ。

 小松左京がどれほど勉強家だったか分かる。



 とはいえ、誰もがトラックで本を買うわけにはいかない。

 論語だったか孟子だったかに、「十を知りて一を教えるは、危うきわざなり」というのがある。(ような気がする。)

 せめて教えることの100倍くらいは勉強しておかないとまずい、ということらしい。

 その辺で手を打っておこう。

 1冊の本を書くのに100冊の本を読む。1ページの資料をつくるのに、100ページの資料を調べる。1時間話をするのに100時間準備をする。

 まあまあ妥当なところだろう。



 勿論、これはあるテーマを完全に消化して、自分のものとしてアウトプットする場合であって、借り物でよいのなら、2,3倍のインプットで十分だ。

 ルーチンワークではそれで済むことも多い。むやみに勉強ばかりするのが良いわけでもない。



 最近は本を出すコストが下がってきたために、つまらぬ本が大量に出版されている。せいぜい10冊くらいの本を読んで、下手な受け売りを継ぎ接ぎしたような本も多い。

 ウッカリそんな本を買うと、犬の糞を踏んだような嫌な気分になる。