歴代「時をかける少女」
原田知世版

 伝説の映画。

 「探偵物語」と「時をかける少女」が同時上映で、薬師丸ひろ子を見に行ったはずの観客が、原田知世のファンになって出てきたという。

 偽記憶が消去された上原兼と入江たかこの会話が泣ける。

 この映画のポイントは「記憶が消されること」ではなくて、「偽記憶がリセットされる」ことだ。
中本奈奈版

 モノクロ。評判が良くないが、私は好きだ。

 原田知世版では満足できなくて、角川春樹が自分で作ったらしい。

 原作のイメージに比べて、芳山和子がかなり大人っぽい。

 原田知世版では尾道が有名になったのに、中本奈奈版の飛騨古川の三寺まいりはあまり注目されなかった。

 オープニングに原田知世のナレーションが入る。
内田有紀版(TVドラマ)

 ストーリーも演出もこれが一番良いと思う。

 連続ドラマなので総時間が長く、登場人物の内面や背景まで描けている。

 今見直してみると、安室奈美恵、筒井康隆らがレギュラーで出ていたり、音楽が久石譲だったして、おもしろい。

 ゴローちゃんと深町の別れの場面が泣ける。

 ドラマの完全版は出ていない。ダイジェスト版のVHSのみ。
アニメ版

 芳山和子の姪が主人公。男友達のどちらがケン・ソゴルか。

 良かった。アニメなので、実写と比較はできないが。

 肝心の「偽記憶」が出てこないので、深みに欠ける。

 「つくられた記憶でも、あなたが好き」、しかもその記憶までリセットされてしまう、という切なさがポイントなんだけどなあ。
仲里依紗版

 芳山和子の娘が「あの時」に帰って、失われた「約束」を探す。

 仲里依紗はアニメ版と実写版の両方に出演するという時かけぶり。

 しかし、深町君でもゴローちゃんでもない男と結婚して、高校生の娘がいるのが、ちょっとがっかり。

 さらに中年になったケン・ソゴルが若干トホホ。

 原作では芳山和子は中学3年、ケン・ソゴルは「おませな」11歳(!!)だ。


 他にもTVドラマがいくつかある(島田淳子版(タイムトラベラー)、南野陽子版、安倍なつみ版)が、見ていないので、ノーコメント。タイムトラベラーは見たはずだが、断片的な記憶しかない。

 どの映画も筒井康隆の小説の映画化と言うより、原田知世版のリメイク又は続編になっている。それだけ原田知世版の存在が大きいのだろう。


 部活動について。原田知世版では芳山和子は弓道部。この年、全国の高校で弓道部員が増えたそうだ。何しろ、原田知世の人気は超絶で、「私をスキーに連れてって」のお陰で、当時やや下火になりつつあったスキーブームが盛り返し、沢山のスキー場が救われたと言う。もしかしたら、トヨタセリカの売り上げも増えたかも知れない。

 仲本奈奈版では部活をやっている場面がないから、帰宅部か。内田有紀版では和子はバスケット部になっていて、内田有紀の活発なイメージを活かしている。原作では芳山和子がバスケットボールの試合をした事になっているが、部活とは書いていない。仲本奈奈版や原田知世版では体育の授業でバスケットボールをやっている。

 アニメ版では放課後キャッチボールをして遊んでいるから、帰宅部らしい。仲里依紗版では再び弓道部だ。原田知世版と同じ場面があるのは、意識しての事だろう。


 その他、ゲームについて。仲本奈奈版のVHSには、本編の前に「時をかける少女」のゲームのCMが入っている。バンダイからプレイステーション用に発売される予定だったようだ。ネットで調べてみると、どういう経緯か結局発売されなかったようだ。