中高年の山登り(1)
湖北の山々に戻る

 そろそろ枯れてきた胸を未だに熱く締め付ける青春の思い出。ビートルズ、イチゴ白書、ペーパームーン、イージーライダー、安田講堂、赤ずきんちゃん、神田川、同棲時代、ネジ式、二十歳の原点、ベ平連、フレンチデモ、ヘルメット、安酒、青臭い政治論争、徹夜麻雀、卒業と別れ。
 「合ハイ」という言葉、憶えていますか。かつて山は若者のものでした。ギターをかついで山に登った人も居るでしょう。えっ、アコーディオン? 中高年の山登りの原点は案外その辺かな。
 近頃ちょっと落ち着いてきたが、やはり山には中高年がウジャウジャ居る。遭難予備軍だ。クワバラクワバラ。

ヘッドライト つま先に力を入れて歩く
ツェルトを持っていますか 知恵で体力は補えない
ゴミは捨てるべきか ケータイとアマチュア無線
クマとスズメバチ 夏の低山歩き
登り優先・あいさつ 走って登るのは?
山菜は採っても良いか? 下りが大変
「はっはっ」と「ほっほっ」 軽量化
レスキューシート 遭難の経験より
たまには手ぶらで 熱中症
食器を洗う 水を持て行く
ウォームアップとクールダウン アプローチはウォームアップ
オピネルの刃の出し方 夜歩く


ヘッドライト    ページのトップへ
 中高年の山登りの本などを読んでいると「日帰りの予定でもヘッドライトを持って行くように。」と書いてあるが、どういう意味だろう。思わず予定が遅れてしまった場合、ヘッドライトをつけて夜道を歩け、ということか。
 だいたい、予定が狂って暗くなってしまうなどはほとんど遭難した状態と言っても良い。そういうことをしでかす人が夜道を歩けるものだろうか。夜の山道を歩くのは山慣れたものでも危険だ。まして遭難予備軍がウロウロするのは・・?
 ヘッドライトは野営地でテントを張ったり晩飯を作ったりするのに使うものだ。予定が狂った場合は強引に下山しようとせず、早めにビバークの準備をしよう。ヘッドライトを点けて下山しようなどとはくれぐれも考えないこと。遭難の上塗りになるだけだ。

つま先に力を入れて歩く  ページのトップへ
 中高年の山登りの本などを読んでいると「前の足に完全に体重を移してから後足を出すようにあるけ。」とかいてある。基本的にはその通りで、平地と同じように後ろ足で蹴るように歩くとすぐに疲れてしまう。
 要するにロボットのようにベタベタ歩けばよいのだ。のだが、いつもそうしていると癖がついてしまって平地でもベタ足で歩くようになってしまう。かっこわるい。平地では背筋を伸ばして、きれいに足をけり出してきれいに歩きたい。
 かっこいい中高年でありたいものだ。
 もう一つ問題がある。いつもベタ足で歩いているとももの筋肉は鍛えられるが、ふくらはぎの筋肉が弱くなる。ふくらはぎの筋肉が弱くなると、つま先立ちができにくくなる。
 ちょっとした岩場を通過するときに、足全体が乗せられずつま先立ちになることがある。ふくらはぎの筋肉が弱くて転落、ということにはなりたくない。
 時にはふくらはぎの筋肉を鍛えよう。

ツェルトを持っていますか  ページのトップへ
 って、ツェルトが何だか分からない? 簡易テントです。簡易な分だけ軽いのでいつも持って歩いてもさほど負担にならない。値段も安い。
 テント泊するつもりでなかったのにせざるを得なかった、つまり遭難しかけているときですね。天候が急に悪化して動けなくなったとか、道を間違えてウロウロしているうちに暗くなってきたというような状況です。こういう時に手もなく雨風にさらされていると、本格的に遭難してしまう。簡単なものでよいから雨風をしのぎたい。それがツェルトです。
 分別のある普通の中高年の山登りであれば、パニックにならなければ何とか助かるでしょう。薄い布一枚でも守られていれば、気持ちが落ち着いて冷静な判断ができます。ツェルトが有れば野営する気になります。無理に夜道を下山しようとして転落しなくてすむ。ライトを持っているからといって夜の山道を歩いてはいけない。

知恵で体力は補えない  ページのトップへ
 中高年の山登りの本などを読んでいると「中高年は体力が衰えている。そこは年相応の智恵でカバーしなければならない。」と書いてあったりする。その通りだが、その意味は「知恵を働かせて、無理をしないようにしようね。」ということだ。
 体力の衰えは智恵でカバーすればアルプスでもキリマンジャロでも登れるよ、ということではない。どんなに賢い人でも動けなくなったら遭難する。智恵で体力は補うことはできない。その辺を思い違いするから遭難予備軍などと言われることになる。体力に見合った山に登ろう。

ゴミは捨てるべきか  ページのトップへ
 もちろん捨てるべきではない。ゴミ箱があっても、それに入れてはいけない。ゴミ箱のゴミは誰かが持って降りてくれている。山に持ち込んだものは必ず自分で持ち帰ろう。
 でも持ってこなかったものは持って帰らないでくださいね。貴重な高山植物はもちろん、山菜もね。注意すると「これは栽培したものではない、自然に生えているものを採ってどこが悪い。」と逆襲されることが多いです。でもそこは他人様の土地ですよ。山菜を採って生活している人も居ます。
 どんな理屈をつけたって、よその土地からものを持ち出すのが正当化できるもんですかね。他人の土地に入り込んで遊ばせてもらっているのだということを忘れないように。

ケータイとアマチュア無線(ハム)     ページのトップへ
 本の数年前までは山の連絡手段といえばアマチュア無線(ハム)だった。しかしこれは違法である。電波法規にアマチュア無線の使用は「アマチュア業務に限る。」と明記してある。登山という業務に使用することは明らかな違法である。まして登山大会の連絡業務に使うなどは以ての外。しかしほかに適当な手段が無いこともあり(違法だと知らないことが主な理由だが)、もっぱらアマチュア無線が使われてきた。
 ところが近年のケータイ(携帯電話)の普及によって、アマチュア無線はすっかり使われなくなって、最近山登りを始めた人ではその存在すら知らない人も多い。違法状態が解消されるのはまことに結構なことだ。
 しかし、ケータイ持って山に登って、ちょっと足をくじいたり道に迷ったりしただけで110番を呼ぶ不届き者がものすごく多いと聞く。「いざとなったら助けを呼べる。」という気持ちが無理を誘発するかもしれない。ケータイは山ではつながらなくて当たり前と考えるべきだ。それにせっかく山に登っているのに下界と電話でつながっているのもくだらない。いまさらアマチュア無線でもないだろうから、せめて本当に遭難したときまではケータイのスイッチを切ってザックの底にでも放り込んでおいてほしい。

クマとスズメバチ  ページのトップへ
(1)山でクマに会うことは滅多にない。
(2)山ではスズメバチに頻繁に出会う。
(3)クマは滅多に人を襲わない。
(4)スズメバチはしばしば人を襲う。
(5)本州ではクマによる死者はほとんど無い。
(6)スズメバチによる死者はかなり居る。(多分毎年10人以上。追伸:40〜70名らしい)
 低山歩きをする人の中にはザックやストックに鈴をつけている人がかなり居る。多分クマよけのつもりだろう。槍や穂高で鈴をつけているのは意味不明だが、なにしろ耳ざわりだ。
 上の(1)〜(6)を読んでもスズメバチ対策よりクマ対策を優先するだろうか。鈴やラジオを鳴らしたり、ペチャクチャしゃべっているとスズメバチの音を聞き逃す。ただブーンと飛んでいるだけなら良いが、ホバリングして威嚇音を鳴らしているのを無視すると、スズメバチの大群に取り囲まれたりする。
 クマは気が弱いから、鈴やラジオを鳴らさなくても足音や話し声だけで逃げてゆく。それよりもせっかく山に来たのだから自然の音を聞き、時には立ち止まって耳をすまして危険がないか探るようにしたいものだ。
 参考のためにスズメバチ対策を書きます。特に夏の終わりから秋が危険です。スズメバチに刺されるとものすごく痛いが、1度刺されただけで死に至ることは滅多にないそうなので、落ち着いて行動すること。
(1)スズメバチに威嚇されたらゆっくり後ろに下がる。
(2)しかし、攻撃されたら全力で走って逃げる。もたもたしていると何度も刺される。追いかけてくるのは巣から数十mまで。
(3)刺されて症状がひどければ病院へ行く。アンモニアは効かない。
※スズメバチは黒い色を攻撃しやすいので白っぽい服を着よ、という話を聞きます。それは本当かもしれないが、白っぽい服なら大丈夫という保証ではないので誤解無きよう。

夏の低山歩き  ページのトップへ
 いや、別に意味はないのだが、暑いのにご苦労様、というだけのことです。日本の夏の低山は蒸し暑い・草ぼうぼう・虫がうるさい・見晴らしが悪い、と、ろくなことはないのに何しに登るんだろう。
 いや、私は登るけどね。とにかく山が好きだから。

登り優先・あいさつ  ページのトップへ
 中高年の山登りの本などを読んでいると「細い山道ですれ違うときは登り優先だ。下りの人がゆずろう。」と書いてある。下りより登りの方がしんどいので、ペースを乱さないようにという配慮でしょう。でもこれはどきやすい方がどいてあげよう、という程度で良いんじゃないか。下りの人が足場の悪いところで無理にゆずって転落でもしたらつまらない。
 たとえば団体の場合なども人数の多い方がゆずった方がうまくいくと思うのだが。アイコンタクトや声のかけ合いでスマートにいきたい。
 ついでに挨拶も、こちら側が大人数の場合はしなくても良いだろう。みんなに「今日は」・・「今日は」といわれて、多分あいては返事するのにうんざりしているだろうから。先頭が代表で「今日は。大勢で迷惑かけてすみません。お先へどうぞ。」とかなんとか挨拶して道をゆずれば気持ちも良いじゃないか。

走って登るのは?  ページのトップへ
 走って登る人はそんなに居ないと思うが、私も割合急いで登ることもある。勝手知った山では運動のためにペースを上げて登る。中高年の一団を追い越すと、「脚力有るね。すごいなあ。」と褒めていただけることもあるが、時々聞こえよがしに「まあ、あんな登り方しかないのかなあ。いろいろな登り方が有ることを理解して、もっと楽しく登ったらいいのに。」とか言う声を聞くことがある。
 言いたいことはわからないでもないが、急いで登るのも一つの登り方だというのも理解してほしい。固定観念にとらわれない方がいいのは他人だけでなく、自分自身もなのだ。図鑑片手に野鳥の名前を調べたり、高山植物を愛でるだけが中高年の登山ではない。

山菜は採っても良いか?  ページのトップへ
 難しいですね。山菜は他人の山でとっても良いのが山里の慣習でしょう。しかし、それは山で暮らす人たちの「お互い様」だからです。近年のように都会人が大勢押し寄せて、先のことも考えずに根こそぎにしてゆくのは「想定外」です。全く 「お互い様」 のかけらもありません。
 また、きれいな谷川にはワサビが植えてあることもよくあります。素人が見たら天然のワサビを見つけたと思うかもしれません。あるいは、松茸やタケノコはよその山では採らないものです。山芋もツルを見ればそこにあるのはわかりますが大きく育つまで大事においてあることもあります。そういうことは都会の人にはわからず、ムチャクチャをします。基本的に「山菜採りはドロボーである」と考えるべきでしょう。
 某月某日。ある山歩きのサイトを読んでいると、うちの近所の事が書いてある。読んでいくと「・・林道を離れて登山道に入る。道は沢沿いで、何度か渡渉する。沢はワサビの宝庫で・・・」って、そこはワサビ田なんですよ。え〜ん。

下りが大変  ページのトップへ
 40歳を越えると足腰が急に弱ってくる。若い頃は30kgや40kgは平気で担いだ人でも、中高年になったら最大20kg、中高年になって山登りを始めた人なら最大10kg位には押さえたい。
 登りは注意してユックリユックリ行けば、結構無理がきく。しかし、下りは特にヒザに負担がかかってとてもつらい。山登りの装備やコース、日程は下りのことを考えて決めたい。装備はできるだけ軽くする。下りは登りの80%程度以上の時間を見積もる。中高年の場合、ストックは登りよりも下りで助かる。急な下りではストックは2本より1本の方が良い。

「はっはっ」と「ほっほっ」  ページのトップへ
 山だけではないが運動をしていて苦しくなると口で「はっはっ」と呼吸をするようになる。そんなとき試しに意識して「ほっほっ」と呼吸をしてみよう。
 ほら、ずい分楽になったでしょう。空気が肺からのどを通るとき「は」より「ほ」の方が抵抗が少ないのです。お試しあれ。
 ただし、ずーっと呼吸を荒くしたままというのはオーバーペースです。

軽量化  ページのトップへ
 夏だと水2リットルが2kgで、一番重い荷物かな。あとは、雨具と食料などなどで5kg程度になるか。普通、ひどく負担にならない荷物の重さは体重の10%程度と考えたらよい。それより重くなる場合は、自分の体力や日程、コースなどと相談の上で。
 間違っても人に荷物を持ってもらうことにならないように。

レスキューシート  ページのトップへ
 ツェルトがなければせめてレスキューシートを持っていこう。量販店で200円から。軽量でかさばらない。強度が弱いのと、たたみにくいので事実上使い捨てだというのが欠点。
 9月のとある山頂で1枚のシートに3人がくるまってご来光を待ったことがある。予定より早く登ってしまって、待ち時間がずいぶん長くなった。吹きさらしでとても寒かったから、もしレスキューシートを持っていなかったら、「もういいや、テントに戻って朝飯にしよう。」てなことになっていただろう。

遭難の経験より  ページのトップへ
 恥ずかしながら、実は遭難したことがある。ご参考のためにその顛末を記す。
 それは二十数年前のこと。9月15日敬老の日に滋賀県北部の横山岳に男2人女2人でハイキングに出かけた。わざわざ「ハイキング」と書くのは、事前にその山は「老人会や子供会のハイキングでよく登られる山だ。」と聞いていたから。

 天気が良かったので雨具も持たず、地図もなく、もちろんライトなど無し。私はリュックも持っていなかったので肩掛けカバンにおにぎり数個、お茶とおやつだけ入れて出かけた。
 車を道ばたに止めて林道を20分ほど登ると行き止まりとなり、そこから登山路になる。本来ならここで谷川を渡って左岸を進む。ところがいきなりこれを間違えて右岸にある道を登り始めてしまった。道はやがて無くなり藪になった。
 若気の至りで「大丈夫、頂上に行けば絶対に道はあるのだからとにかく登ろう。老人会でも登るのだからきっと良い道が有るに違いない。」とヤブをこいでどんどん登っていった。時間はかかったがとにかく2時前に頂上に着いた。しかし、道はない。頂上の広場もない、ただのヤブだ。
 このときやっと違う山に登ってしまったらしい、と気づいた。横山岳はほとんど同じ高さのピークが2つある。(湖北の山々の横山岳参照。左側(西)が正しいピーク、右側(東)が私たちが間違えて登ったピーク)ずっと間違った道を登り、間違った山頂にたどり着いてしまったということだ。
 このときはまずいかなという程度で、まだ「えらいことになった」とまでは思っていなかった。「昼飯を食ってから、尾根づたいに向こうのピークへ行こう」ということで、のんびり昼飯を食い始めた。そこを出発したのが2時半頃。

 尾根はヤブがひどく、向こうのピークにつくのは大変だった。途中でいやになってきて、尾根の一番低いあたりまで来たときに「登り返すのも面倒だし、このまま谷を下ろうか。」と話がまとまり、できるだけ低い方へ低い方へとヤブをこぎ始めた。このとき3時過ぎ。
 やがて谷川に行き着いた。水は枯れていて歩きやすかったので、この谷川をどんどん下ることになった。小さな滝が幾つかあったが、滑り落ちたり飛び降りたりしながら進んだ。秋の陽はつるべ落とし。4時過ぎには谷間は暗くなってくる。足下もはっきりしない河床を半分転げ落ちるようにしていたが、とある一歩を踏み出そうとして、足下がいやに暗いような気がして踏みとどまった。
 すかしてよく見ると、そこにはなにもなかった。私たちは危うく滝の上からダイビングするところだった。暗くて見えないが、石を落としてみると結構高いようだ。やむを得ず谷から離れて山の斜面を降り、滝の下に出ようとトラバースし始めた。急な斜面に草が生え、まばらに木が生えている。いわゆる草つきだ。進むに従って斜面は急になり木から木へと移れなくなって、ついに進むことも戻ることもできなくなってしまった。

 ここにきてやっと「もう今日は帰れない」ことがはっきりわかった。「明日明るくなってきたら大急ぎで下山して、なんとか出勤に間に合うようにしよう。」と、ここで一夜を明かすことにした。しかし斜面が急で、気を抜くと滑落してしまう。それぞれが適当な木につかまって朝までじっとしていることにした。
 支えになりそうな木に移るために移動しようとした。先頭にいた私が「この草は抜けかけているから、つかまらない方がいいよ」と言いながら振り向いた瞬間、すぐ後ろにいた男性の姿がフッと視界から消えた。ザザザザという音が足下の闇の中を遠ざかってゆく。大声で呼んでも返事はない。

 機会が有れば、この後の話も書きます。ここまでにも登山のべからず集にでも出てきそうなミスがたくさんあったでしょう。参考にしてください。本に「ダメだ」と書いてあれば、決してやってはいけません。私の二の舞にならないように。

たまには手ぶらで  ページのトップへ
  中高年の山登りの本などを読んでいると「天気が良くても雨具は持って行け。」「日帰りでもライトを忘れるな。」「云々。」などと書いてある。それは正しい。山をなめてけがをするのはつまらない。しかし、時に無性に情けない気分になる。
 子供の頃よく祖父が山仕事をするのについていった。70歳をこえる祖父は雨が降っても休もうとせず、手ぬぐいで鉢巻きをしたハゲ頭から湯気を立てながら仕事をしていた。木陰で雨宿りをしている私も結局はずぶぬれだ。
 子供の頃はうら山に遊びに行くことも多かった。「探偵ごっこ」とか「泥棒ごっこ」などといって、2組に分かれて鬼ごっこのようなことをする。朝から山から山、谷から谷へと走り回る。クツでなくゴムぞうりの子供もいる。怪我が絶えない。時には大きい怪我もして泣くこともある。今も傷跡が残っている。

 時が過ぎ、私は登山靴をはき、天気が良くてもゴアのカッパを忘れず、ヘッドライトと食料と水を十分持って登る。ペースを守り、無理はしない。そしてふと情けない気分になる。なにも持たずに山を駆け回りたいなあ。なにしろ私はまだあの時の祖父の年齢よりはるかに若いのだから。

熱中症  ページのトップへ
 今時、運動中に水を飲んではいけないと思っている人は少ないだろう。ところが案外みんな水を飲まない。のどが渇いてから飲むので手遅れになるとか、小便をするところがないので水を飲まないようにしているとか。
 あと、塩分と休憩を十分取ってください。私の近くにも死んだ人やら、死にかけた人が居ます。

食器を洗う  ページのトップへ
 水場で食器を洗って残飯を流している人が居るのだが、どうなんでしょ。山の中で下水が完備している訳じゃあるまいし、そのくらいワカランのかな。
 生ゴミもゴミなのだからちゃんと持って帰ろう。

水を持って行く  ページのトップへ
 怪我をしたら傷口を水で洗うことができる。コーヒーを入れることも、ラーメンを作ることもできる。ジュースやお茶しか持っていなければそういうわけにいかない。水筒と言うくらいだから、水筒には水を入れよう。山ではただの水でも十分美味い。

ウォームアップとクールダウン  ページのトップへ
 普通、1時間程度の運動をするのなら少なくともウォームアップに10分、クールダウンに10分くらいはかける。文字通り筋肉の温度を上げてから運動を始める。ところが山登りとなると、ちょっとアキレス腱を伸ばすまねをしただけで登り始めてしまう。

アプローチはウォームアップ  ページのトップへ
 林道をギリギリまでつめて、登山口のすぐ側に車を置いて登り始める人が居る。少し問題がある。
(1)林道が傷む。林道は車がたくさん通ることを前提にはつくられていない。山道になれていない人は路肩を崩したり、轍を深くしたりする。仕事のために林道を使っている人に迷惑だ。
(2)ばてるおそれがある。車を降りて、ちょっとアキレス腱を伸ばしていきなり登り出すのは良くない。かなり手前に車を置いて、林道をゆっくり歩き登山口に至ればそれだけでウォームアップになる。

オピネルの刃の出し方  ページのトップへ
 アーミーナイフは便利なのでアウトドアで使っている人は多い。ところが刃がバネで固定されているので手が濡れていたりかじかんでいたりするとすべる。うまく開けられなかったり、下手をすると怪我をする。
 オピネルはちょうつがいの方をつまんで、尻の部分を硬いモノにコンコンと軽くぶつけると刃が少し出てくる。これを引っ張り出せばよいので、手がかじかんでいたり、分厚い手袋をはめたままでも安全に刃が出せる。
 バックアップのためにアーミーナイフもザックに入れておくがまず使わない。ポケットに入れていつも使うのはよく切れて使いやすい(しかも安い)オピネルだ。

夜歩く ページのトップへ
 先に「夜歩いてはいけない」と書いた。確かに、「予定が狂って日が暮れてしまった」というような場合、ライトを持っているからといって夜道を歩くのはきわめて危険だ。しかし、わざとやる場合はこの限りではない。

(1)山の朝は早い。4時に起きて5時出発、てなことをしていると季節によっては既に行列ができていて大渋滞ということになる。2時起き3時発なら良かろう。しかし、まだ暗い。ヘッドライトを点けて歩くことになる。

(2)ご来光を見に来た。これは夜歩かざるを得ない。十分気を付けて登ってください。富士山などは夜登るのが当たり前みたいで、照明が点いていたりする。

(3)夜歩くのが楽しい。実は私もそうです。山の夜は別世界。曇っていれば真の闇、月が出ていれば昼間のよう。夜目がなれてくると月さえまぶしくて目を細めてしまう。ライトはもちろん必要ない。夜行性の動物になったような気分でうきうきする。人間というのは案外野生だったのだなあと、つい足が速くなってしまう。