中高年の山登り(2)
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犬を連れて山に登る おすすめでない靴
予備ライト 電池4本のライト
ゴアを洗うと 靴の修理
ストレッチ 上半身の運動
予備の電池 単独登山
ときどき振り返る アキレス腱炎
中高年の遭難 元気に山登り


犬を連れて山に登る    ページのトップへ
 以前は犬を連れて山に行くこともよくあった。もちろんつないだりせずに、走り回らせている。今では中高年の登山ブームで、いなかの山でも登山者に出会わない日は少なくなった。中には犬好きの人もいるが、大概いやな顔をされる。常識がない、などと親切に説教をしてくれる人もいる。自然保護をとうとうと説く人も。
 こちらにすれば、私の散歩コースにあなた方が入り込んでいる、のですが。仕方がないので、私の散歩コースはどんどん人気のない方にシフトしていく。犬はよろこび、サルやキジを追いかけている。私は道無き斜面をよじ登り転げ落ちる。
 ところで、まえに冠山に登ったとき、イノシシを連れて登ってきた人に会った。ペットだそうだ。なかなか豪快。

おすすめでない靴    ページのトップへ
 誰にでも合う登山靴はない。しかし、これは「中高年の登山」には向かないというのはある。全体が表皮の、重登山靴みたいなかたちの靴、例えばザンバランのフジヤマなどだ。ああいう靴ははく人を選ぶ。普段ハードな山登りをしている若い人が軽い山登りをするには良い。しかし、足腰の弱い中高年が選ぶべきではない。その理由は、

(1)靴がなじむのに時間がかかる。革靴は買ったときは皮が固くて履きにくい。40点くらい。足になじむととても具合が良くて95点。その間、我慢してはき続けなければならない。悪くすると変な歩き癖がついたり、足を痛めたりする。一方、今時の布製の軽登山靴は良くできているから、買ってすぐに70点の履き心地だ。

(2)着地時のショックが大きい。革製の古いスタイルの靴は靴底にスポンジが入っていないか、入っていても薄い。正しい歩き方をしないとかかとやヒザにがつんとショックが来る。特に中高年は疲れてくると、ショックの大きい歩き方になる。スポンジの入っていない靴はアウト。すぐにヒザを痛めることになる。

(3)とにかく山登りの正しい歩き方を強制される。ゆっくり山登りをしているときは歩きやすくて、疲れない。ところが、アプローチで舗装された林道をサッサと歩こうとすると急激に疲れる。限定された場面だけで抜群の力を発揮する靴なのだ。その点、今時のナイロンアッパーの靴ならなにをやらせても70点はいける。

予備のライト    ページのトップへ
 ヘッドランプの電池が切れるとやっかいだ。電池を取りはずと、真っ暗になる。電池を抜くのはよいが、はめるのが厄介だ。そこで、小型のライトを予備に持つ。これで照らしてヘッドランプの電池を替える。
 予備の電池も必ず持つ。私はトランシーバー、ヘッドランプ、予備のライトを単3電池で統一している。いざというときに、互いに融通できるように。だからリチウム電池式のヘッドランプは使わない。(厳寒地へ行くつもりもないので。)

電池4本のライト    ページのトップへ
 私は最軽量のヤツではなく、単3電池を2本ずつ並列にして、それを直列にする(つまり全部で4本使う)タイプのヘッドランプを使っている。といっても特殊なものではない。量販店にもあるナショナルの普通のヤツだ。(釣り用かな。)
 持ち歩くときは、間違ってスイッチが入ってザックの中で電池が消耗しきっていた、ということを避けるために、全部の電池の電極にセロテープを貼っておく。夕方は暗くなる前にとり出して、その内2本だけテープをはがして首からかけておく。暗くなってからヘッドランプを探すのは手遅れ。
 電池が弱ってきたら、残りの2本の電池のテープをはがして、弱った方の電池をとり出してしまう。弱った電池を入れっぱなしにすると、かえって新しい電池を消耗させるので、必ずとり出す。

ゴアを洗うと    ページのトップへ
 ゴアテックスの雨具は洗ってはいけない、と言われる。いや近頃のものは洗っても大丈夫とも言う。
 大分汚れたので、洗濯機に放り込んだ。見事にラミネートがはがれてバラバラになってしまった。高価な雨具を洗濯機に放り込んではいけない。

靴の修理    ページのトップへ
 あまり頻繁に登るのでなければ、靴は10年、靴底は5年は持つと、店員は言う。とすると靴底は一度は換えるのがデフォルトだ。私の足はどうしたことかザンバランしか合わないので、修理に出した。返ってきたら、ビブラムになっていて、快適。元々より歩きやすい。
 ところが、修理したら防水が完全にダメになって、雨の日はワヤです。晴れの日専用の靴になってしまった。

ストレッチ    ページのトップへ
 山登りの前はストレッチをしなければならない、と思いこんでむやみに頑張ってストレッチをする人もいる。やり方によっては危ない。
 ストレッチは思ったより筋肉に負担をかける。車でアプローチしていきなりギュウギュウストレッチしただけで筋肉を痛めることもある。
 そう言う意味でも車でギリギリまで詰めてしまわずに、林道を少し歩いてから登山口につく方がよい。それからじっくりストレッチしてのぼり始める。

上半身の運動    ページのトップへ
 山登りをすると下半身の筋肉や背筋は鍛えられる。しかし、腹筋や腕の筋肉は鍛えられない。だから別途運動をする必要がある。腹筋は仕方がないので、毎日寝る前に寝床で腹筋運動をする。
 私は下山のとき林道を歩いたりする場合には腕の運動をしながら歩く。ストックをバーベルのように持って、歩くのに合わせて「1・2・3・4」と声をかけながら腰・胸・頭上・胸・腰と上下させる。ストックは軽すぎて初めのうちは頼りないが、2,30分も歩きながらこれをやるのは結構きつい。

予備の電池    ページのトップへ
 これは受け売りだが、ヘッドランプの電池は普通のアルカリの単3がよい。
 リチウム電池やニッケル水素電池は使っていると一定の電圧を保っていて、急にストンと電圧が無くなる。その時スペアの電池を持っていなければとても危険だ。アルカリ電池はだんだん電圧が下がってライトが暗くなってくるので「そろそろ電池を替えようかな。」というのが誰にでもわかる。
 私は電池が4本はいるタイプのヘッドランプを使っている。その内2本の電極にセロテープを貼って殺しておく。ランプが暗くなってきたら、弱った電池を取りだしてスペア電池のテープをはがせばよい。いつも予備の電池をすぐ手の届くところにおいておくほど用意周到な人は少ないから、これは良い方法だと思っている。

単独登山    ページのトップへ
 中高年は体力もとっさの判断力も若いときから比べれば何分の1も無い。独りで山に登るのはやめた方がよい。しかし、私はほとんど独りで登る。

(1)低山専門でそんなに危険はない。

(2)しょっちゅう同じ山に登るのでそんなにつきあってくれる人が居ない。

(3)道のないところを歩きたがるのでつきあってくれる人が居ない。

(4)ゆっくり写真を撮ったかと思うと、何時間も休憩無しで歩くなど、ペースがでたらめ。

(5)山で美味いものを食べたり、小鳥や草花を見る趣味がない。ただ登るだけ。

 お金が十分有れば元気の良いのをバイトに雇って、保険のためについて歩いてもらうといいのだが。
 既に遭難の前科があるので、これ以上信用を無くさないためにも危険なことはしないようにしている。いつもまわりに危険がないか気を配っている。地図と磁石無しでははじめての道は歩かない(これはほかの人と行くときも同じ。はぐれても独りで目的地まで行って下山できること。)登山技術の本や事故のケーススタディをたくさん読む。

ときどき振り返る    ページのトップへ
 下山するとき、間違って違う枝道へ入ってしまうことがある。同じ道でも見る方向が逆だとそこを通ったかどうかさえわからなくなる。
 時々来た道を振り返ろう。とくに、分かれ道を通過したら必ず振り返って、自分がどこから来たか確認する。もしデジカメを持っていたら1枚撮っておくと良い。
 その程度の手間で、とんでもない迷惑をかけずに済めば安いもの。

アキレス腱炎    ページのトップへ
 年齢とともにヒザが苦しくなってきたので、できるだけ負担をかけないようにしていた。ところが近頃急にアキレス腱が痛くなったので整形外科で診てもらったところ「アキレス腱炎」ということだ。
 レントゲンを撮ってもらったら、「ヒザも足首も年齢よりずっと若い。大丈夫です。」と言われた。「骨よりアキレス腱にくることも多いんですよ。歳を考えて、運動のしすぎに注意してください。当分山登りはいけません。」
 あんなにヒザを大切にしていたのに、とんだ伏兵だ。中高年の山登りでアキレス腱炎になる人が多いらしい。気をつけよう。

中高年の遭難    ページのトップへ
 正月の新聞を見ていたら、暮れから正月にかけて北アルプスで数件の遭難があったようだ。これが見事に中高年ばかり。

 曰く「上高地から徳本峠に向かう登山中に心臓発作(55歳)」「燕岳で悪天候で救助要請(66歳)」「蝶ケ岳で悪天候で救助要請(59歳)」「鹿島槍ケ岳で行方不明(55歳)」。

 遭難した人には悪いが、これは偶然ではない。冬山は危険だが、十分準備をして実力に見合った山に登ればそうしょっちゅう遭難するモノではないだろう。体力がないので必要な装備を持てない、天候が悪化しても長期の停滞に耐えられない、足下がふらついて滑落する。
 冬の北アルプスに登るのだから昨日や今日の素人ではあるまい。しかし、いくら経験者でも自分の実力を過信すれば、他人に迷惑をかけるために登るようなものだ。

元気に山登り    ページのトップへ
 中高年が多かった山にも少しずつ若者が増えているようだ。ケータイに金がかかるので、金のかかる遊びができなくなったのかな。
 地上は不景気で気の滅入ることが多い。色々のことがつまらない。自分も小さな人間に思える。ところが大汗をかいてえっちらおっちら山道を登って、にぎりめしをガツガツ食う、お茶をグビグビ飲む。ちょっとワイルドな気分になって、元気になる。
 というようなことか。ともかく山に登ると体は疲れるが、心が元気になる。