発酵用恒温箱(ヨーグルトや甘酒用)
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 以前なら、電子サーモスタットを作ろうとすると、温度センサーやコンパレータ、パワートランジスタ等々、結構めんどくさい工作だった。

 それが、秋月でTC622EPAというサーモスタットICが90円、同じく20Aのソリッドステートリレーが250円。あとは細々とした部品で、全部合わせても500円くらいだ。

 コントロールユニットといっても、パイロットランプ用のLED関係以外では、抵抗とトランジスタが1個ずつで、あっけないほどだ。TC622EPAの出力が、ソリッドステートリレーをドライブするには少し弱いので、2SC1815でバッファする。

 だから、作業は電子回路より、入れ物の工作が中心になる。

 
 20Aのソリッドステートリレーキット。部品が少ないので、すぐできあがる。

 放熱しないと2Aだそうだから、200Wまで問題ないはずだが、念のために手持ちの放熱器をつけておく。
 電源の表示と、ヒーターのオンオフを示すLED。

 緑が電源、赤がヒーターの状態を示す。あり合わせのLEDなので、不揃いだが問題ない。

 トランジスタは何でも良いが、2SC1815が売るほど有るので、それを使った。
 サーモスタットICはセンサーとコンパレータなどを内蔵する。それだけで−40℃から+85℃までのサーモスタットになる。

 ヒステリシスが2℃と決まっているので、それ以上精密な用途には向かない。

 温度設定用の抵抗はセンサーと離すと誤動作するので、近くに置く。DIPスイッチで3個の抵抗を切り替えて、40,50,60℃に設定できるようにした。
 抵抗値は手持ちの関係で、こんな風になった。

 ヨーグルトは始め40℃に設定したが、R1を増殖したいので、4.3kΩを直列に入れて高めになるように改造。
   サーモスタット部分できあがり。

 温度設定用の抵抗値は計算が面倒なので、電卓よりエクセルでやるのが吉。抵抗値を間違えている製作記事が有った。

 TC622EPAは正・逆の出力が出ているので、温度が上がったらスイッチをオンすることも出来る。

 例えば温度が上がったら、冷却ファンを回す、など。
 電源は、「電子サーモスタット用の5V」「ファン用の12V」「ヒーター用の100V」の3種類が必要だ。

 電源アダプタから12Vを供給して、3端子レギュレーターで5Vに落とす。

 3端子レギュレーターはICとパスコン2個だけなので、コネクタに直接半田付けしてしまう。
 とりあえず電源をつないでみた。

 ドライヤーでセンサーを加熱してみると、ソリッドステートリレーがちゃんと切れる。冷めるとオンになる。

 動作は完璧だ。ただし、恒温箱としてうまく働くかどうかは、箱の断熱性や内容物の熱容量にもよる。
 ヒーターには普通の白熱電球を使う。多分60W程度でよいと思うが、簡単に取り替えられるのが吉。

 ファンは電球を冷やすためではない。定温箱は空気をよくかき混ぜないと、動作が安定しない。ジャンクのパソコンからはずしたもの。
  先日もらったリンゴ箱。発泡スチロールで内張りして、断熱する。

 地域行事の際に、甘酒を大量生産しようかと、大きめに作った。

 小さくて良ければ、発泡スチロールの安いクーラーボックスなどを使えば簡単か。

 夏場なら、断熱しなくても、木箱のままでも良いだろう。
 できあがり。電源やリレーなどは箱の上にネジ止めしてしまう。小さく作る必要がないので、適当に。

 ヒーターやセンサは固定しないで、位置を調整できるようにしておく。
 特製の鍋敷き。

 恒温箱は一応断熱してあるが、なべを直接置かない方が良い。

 下を空気が通りやすいような構造の鍋敷きで、なべを空中に浮かせる。

 これは恒温槽で実験するときの一般的な注意事項だ。
 試運転。フタに穴を開けて温度計を突っ込んで、安定度を調べる。

 律儀に2℃以内に収まっている。大変優秀だ。

 ただし、ヒーターが小さいので、熱容量の大きい物は、あらかじめ暖めておかないと、定常状態に達するまでに時間がかかる。
 
 後日、甘酒とR1を作ってみたが、完璧の出来映え。美味しくいただきました。