錯視の部屋

・ガラクタ製作所にもどる
 ある日テレビで右のようなインチキ番組が有った。実はこれはちょっとした錯視を利用した遊園地の出し物に過ぎない。それを現地ロケまでして(当然トリックと知りながら)超常現象と紹介している。
 故意に視聴者をだます番組の制作意図は何だろう。下にそのトリックの種明かしをする。
 映画のセットでは「パースペクティブ強調」という方法を使って狭いセットを広く見せる。これは近くの物は大きく、遠くの物は小さく作って、実際以上に奥行きを強調する手法である。これを逆に遠くの背景をを大きく作れば、遠くにある物をすぐ近くにあるように見せることができる。オプティカル合成以前の映画では「小人さん」や「巨人」を撮影するのに使われた。
[番組の内容]
「アメリカには空間のゆがんだ場所がある。そこでは物体が大きくなったり小さくなったりする。」と言って2人の人間が場所を代わって身長が変化するのを見せる。「また重力も異常で石が坂を転がり上がったりする。」と言ってボールを転がしてみせる。

 上の2枚の写真を見て下さい。右の写真ではキティちゃんの方が大きく、左の写真ではどきんちゃんの方が大きく見えるでしょう。
 ところが、実は左の写真のようにどちらもほぼ同じ大きさなのです。
 同じ大きさでも下の写真のように、遠くのものは小さく、近くのものは大きく見えます。下の写真のような普通の背景では、遠くにあるか近くにあるかが分かるので何の不思議もありません。
 実は上の写真をよく見ると、どちらの写真も右側の人形の方が少しピンぼけになっているで、距離が違うのがわかります。もっと絞りを絞るか、広角のレンズを使えばわからなくなります。

 最初の写真は下のような箱の中で撮ったものです。この部屋の模型はゆがんでいます。四隅が直角ではありません。近くのものは小さく、遠くのものは大きく作ってあります。その結果、ある位置から見ると、左のコーナーは右のコーナーより遠いのに、同じ距離のように見えます。
 このような部屋の両角に同じ大きさの物を置くと、「遠くのものは小さく見える」という当たり前のことが、「同じ大きさのものが違う大きさに見える」という錯視を起こすのです。
 この箱は外から見ると立方体ですが、内部は天井も床も壁も2重になっていて、台形を組み合わせたようなゆがんだ部屋です。正面の穴から覗くと四隅が直角に見えるように作ってあります。

 部屋の展開図は右の通りです。興味のある人は自分でもやってみて下さい。ただし、当てずっぽうではうまく行きません。何となくゆがんで見えるのですぐにばれてしまいます。のぞき穴から視線をのばすようにして、計算してちゃんと設計してからつくります。
 また、写真に撮る場合は自分のカメラの画角や最近接距離を考えて寸法を決めないと撮影ができなくなります。外形を立方体にするならば、28mmより広角のレンズが必要です。
 内部に照明を取り付け、前面もふさいでのぞき穴だけあけておけば文化祭などの出し物によいでしょう。人が入れるほどの大きな物をつくればきっと大人気です。
 背景が大変大がかりになりますが屋外でもできます。