何故フェライトビーズを使うのか?

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 バランの性能の限界の、低周波数側は「インダクタンスが十分ある」か、高周波数側は「浮遊容量が小さい」か、で決まる。(と思っているのだが、違うかな。)

 また、コイルとしての性質の他に、分布定数としても、巻き線は短い方が良いだろう。

 と考えると、フェライトビーズの形状は、どう見てもバランに適していない。

 にもかかわらず、トロイダルコア活用百科でも、あちこちのネットの記事にも、フェライトビーズが使ってある。どうも、納得がいかない。

 なぜ、普通のトロイダルコアを使わないのかな。

  
 インダクタンスは巻き数だけで決まる。

 無駄に縦長のビーズより、ドーナツ型のトロイダルコアの方がワンターンが短くなる。

 また、フェライトビーズは穴が小さいので、巻線同士が接近せざるを得ない。

 トロイダルコアなら穴が大きいので、平均して巻線同士を離すこともできるし、巻き始めと巻き終わりも離すことが出来る。
 大体同じくらいのサイズの、3種類のフロートバランを作ってみた。

(1) #43のフェライトビーズ(μ=850)

(2) #43のトロイダルコア(μ=850)

(3) #75のトロイダルコア(μ=5000)
 まずは、FT801-43。

 トロイダルコア活用百科でもこれだし、多分あの本を参考にする人が多いので、このフェライトビーズがスタンダードのようになっている。

 下左がブリッジをバランスさせた時。下右が通過ロス(ブリッジの片方をショート)。
 次が、FT37-43。

 真ん中辺で巻き線がおかしな事になっているのは、巻き始めと巻き終わりを出来るだけ離すため。(「W1JR巻き」と言うらしい。)

 下左がブリッジをバランスさせた時。下右が通過ロス(ブリッジの片方をショート)。
 最後は、FT37-75。

 なお、巻き線は、長いより線を作って3本に切り分けたもの。巻き数はすべて6回。

 出来るだけ、条件をそろえた。

 下左がブリッジをバランスさせた時。下右が通過ロス(ブリッジの片方をショート)。
  
 ブリッジの片方をショートして、バランスを崩した時の出力は、どれもあまり変わらない。FT801-43フェライトビーズが680MHzの辺りにディップが有るのが目立つくらいだ。

 一方、バランスさせた時の出力は、
(1) FB801-43は低い周波数での減衰が大きいが、凸凹が大きい。

(2) FT37-43は減衰はまあまあで、周波数特性が綺麗だ。

(3) μが何倍も大きなFT37-75は意外にも、低域の特性が悪く、高域がそれほど悪くない。予想の反対だ。

 さしあたり、#75材を使うメリットは無さそうだ。

 150MHz以上ではFT37-43が、綺麗な良い特性だと思う。低い周波数はFB801-43の方が良さそうだ。