先日ヘンテナを作って、調整の要点を調べてみた。 その結果分かったのは、ヘンテナは要するに1λループの一種だということだ。 このグラフの9cmの辺りにSWRの最低点がある。これは0.15λよりやや短い。 |
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右はヘンテナのジオメトリだ。 先日の実験の周波数では、上のグラフの10cmが約0.15λになる。 右の図から、l の値を求めてみる。 |
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と、左の計算の通り、1.03λになる。 ループアンテナの共振点は1λよりやや長いところにある。 1.03λはまさに、1λループアンテナの共振点と言って良い。 ヘンテナ=1λループ+高インピーダンスのヘアピンマッチ、と理解できる。 |
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そこで、ヘンテナの前後にエレメントをつけて、3エレにしてみた。 前後のエレメントはヘンテナに合わせて、長方形にした。 |
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その周波数特性がこれだ。 SWRが1.5以下をバンド幅とすると、約3.1MHzになる。 これでは狭い。 せっかく調整の簡単なヘンテナを使ったのに、これではクリティカルで、あまり意味が無い。 |
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因みに、これは1エレのヘンテナで、SWR1.5以下の幅は19.2MHzほどある。 ラジエターがQの低いヘンテナなのに、ディレクターとリフレクターがよりQの高いループでは、ヘンテナの良さを消してしまうという事だろう。 |
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そこで、ラジエター以外のエレメントもヘンテナにしてみた。 まず、周波数は433MHzとして、長さの比率が0.95:1.00:1.05の3本のループを作る。 縦横比はλ/2:λ/6だ。 その際、短縮率(延長率?)は1.00で計算する。 |
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まず、1エレのヘンテナを作って、SWRを最小にする。 給電点の位置と同じ比率になるように、ディレクターとリフレクターにショートバーを半田付けする。 以後、給電点やショートバーは動かさない。 3つのエレメントの位置関係だけを動かして、SWRの最小点を求める。 |
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まずこれが1エレのヘンテナの周波数特性。 SWRが1.5以下の幅が11MHzほどだ。 |
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3エレにすると、こうなる。 周波数は大分低くなったが、シェープはあまり変わらない。バンド幅は10MHz弱だ。 勿論、これは調整後で、エレメントの位置関係によっては、ほとんどディップが無くなる。 |
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エレメントの位置の調節の仕方は、リフレクタとディレクターの間隔をλ×2/5(27.7cm)に固定して、その間でラジエターを前後させる。 λ×2/5というのはワイドスぺースのおよそ上限値だ。 参考値だが、この時のラジエター・リフレクター間が18.5cm、ラジエター・ディレクター間は9.5cmと、かなりディレクター寄りになった。 今回は、単に整合を取っただけで、ゲインや指向性がどうなっているかは分からない。 ただ、この実験から、バンド幅だけに関して言えば、どのエレメントも同じ形式にするのが良いと思う。 たとえば、1本棒のヤギエレメントはループよりさらにQが高い。 クワッドに八木のエレメントをつけた「クワギ」やループヤギなども、何のためにその組み合わせを選ぶのか、明確にしておかないと、無駄にバンド幅が狭くなるだけになるだろう。 はじめの設計の周波数は433MHzだった。実測では、1エレでは449.2MHz3エレでは428.9MHzが最良点だ。 そうすると、短縮率(延長率)は、1エレのヘンテナでは1.04、3エレでは0.99になる。 実際のアンテナをつくる時にはこのファクターを掛ければ良い。 同じ寸法のラジエターで、1エレと3エレの周波数の違い(この場合20.3MHz)が約5%になるが、これは、八木アンテナやキュビカルクワッドより大きいように思う。 |
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