リターンロスブリッジの特性

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 作ったブリッジは完全に左右対称なので、片方に50Ωダミーロードをつなぎ、他方に測定する対象をつなぐ。
(1) トラジェネとスペアナを40cmくらいの同軸で直結した。

 周波数が高くなると少しずつロスが増えるが、ほぼフラットだ。
   
(2) まず、どちらのポートにも何もつながないと、こうなる。

 左右対称だから、出力はゼロのはずだが、対称性の不完全さや、フロートバランのコモンモード阻止能力不足で、こうなる。

 さらに、この状態だと、ブリッジの中でホット側が浮いているので、特性が波打つ。


          
   
(3) そこで、両方に50Ωのダミーロードをつないでみた。

 これが、このブリッジの最高減衰性能だ。これよりシビアな測定対象は、測定できない。



   
  
(4) 片方だけオープンにする。

 これは完全にバランスが崩れた状態なので、このグラフと上の(3)グラフの差が、このブリッジの性能と言うことになる。

 上の目盛りは、横がひとマス100MHz、縦がひとマス10dBなので、50MHzから700MHzあたりまで、30ないし40dBとれている。まあまあだろう。



 さて、何か測ってみよう。
   
   
(5) 144MHzと430MHzの2バンドトランシーバーに付いていたアンテナ。

 確かに、144MHzあたりと430MHzあたりにディップが有る。



   
  
(6)  以前作ったダミーロード。220Ω2Wのチップ抵抗を4本パラにして、55Ω8Wだ。

 抵抗値が違うので、バランスは崩れているが、この程度のいい加減なダミーロードでも5,600MHzくらいまでは使える様だ。

 55ΩならSWRは1.1だから十分だろう。



   
  
(7) 長さ2mの同軸ケーブル。先端はオープンになっている。

 一番低い周波数のディップは、見にくいが約100MHzあたりか。



  
(8) (7)では分かりにくいので、ダミーロードをはずしてみた。大体50MHzごとにディップが有るようだ。

 ブリッジのリファレンス側を外付けにしておくと、こういう使い方も出来る。あるいは、50Ω以外のダミーロードや可変抵抗、コンデンサなどをつなげる方にすると、ずいぶん利用範囲が広がるだろう。

 
  
(9) 同じ事を約40cmの同軸ケーブルでやってみると、こうなる。

 左がダミーロード有りで、分かりにくい。右が無しだ。240MHzごとにディップが有るのがよくわかる。

 こういうふうにすれば、同軸ケーブルの短縮率なども簡単に計算できる。例えば、このケーブルを例に取ると。

 240MHzの電磁波の真空中の波長は、30000/240=125。125cmだ。

 一方、オープンの同軸ケーブルは1/2λごとにディップが出来る。つまり、この同軸ケーブルの中での波長は、40×2=80。80cmだ。

 従って、この同軸ケーブル(3D2Vだが)の短縮率は、80/125=0.64になる。

 これは通常言われている値と同じくらいで、妥当な値だ。

 厳密には、いくつかの長さのケーブルで実験して、グラフにプロットし、終端効果やコネクタの分を相殺する必要がある。まあ、普通はそこまでやる必要は無いだろう。



   
 これはオマケ。

 先程から使っているダミーロードをトラジェネの出力とスペアナの入力につないでみた。

 2本のダミーの間隔は25cmほどだ。
 そうすると、こうなる。

 本当なら、信号強度はべったり0でないといけないのだが、400MHzくらいから信号が漏れているのが見えてくるし、、600MHzあたりから上では、漏れが急に大きくなる。

 こういう作り方のダミーロードでは600MHzあたりが限界だということだ。

 ただし、それはシビアな測定に使う時の話で、回路の負荷にする程度なら、1GHz以上まで問題ない。