RG58Uを1mほどバラして、外皮、網線、芯線に分ける。 外皮は捨てる。芯線は高圧実験をする時に導線として使う。 網線の網を痛めないように。 |
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RG58Uに網線をかぶせる。 密着するように良くしごいておく。 熱収縮チューブをかぶせて、トーチであぶる。 |
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出来上がり。 まるで、最初からこの状態で売っていたのではないかと思うほど、きれいなできばえだ。 そう言えば、こういう風に網線が2重になった同軸というのは売っていないのだろうか。 |
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長さに曖昧さが無いように、端をきれいに処理しておく。 | |
BNCコネクタに同軸をつけて、ギリギリのところでカットする。 可能な限り短くしたつもりだが、それでも1cm近くある。難しい。 |
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同軸とコネクタをつなぐ。 同軸の網線をアース側に、外にかぶせた網線を芯線につなぐ。 もしかしたら、逆につないだら、また違う結果になったかも知れない。 測定する同軸の芯線はどこにもつながず、遊ばせておく。 |
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リターンロスブリッジに接続すると、こんな具合。 普通に同軸をつないだ時と比べると、ディップが浅いのは何故かな。 |
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同軸ケーブルの短縮率を測定したのと全く同じ要領で、少しずつ切り詰めながら、共振周波数を測定する。 予想通り、0.67より小さい。およそ0.56か0.57くらいだ。誘電率にすると、3.1から3.2くらいになる。因みに、塩化ビニルの誘電率をググると2.8~8.0くらいの幅がある。 グラフにすると、下の通り。 |
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横軸は周波数(MHz)、縦軸は速度係数。 500MHz以上でカックンと下がっているのが気になる。 上の表の8,9,10,11のデータをよく見ると分かるが、測定周波数より、ピークとピークの間隔が狭くなっている。 これは高い周波数での誤差がかなり大きいことを示している。 理由は2つ考えられる。 (1) リターンロスブリッジと同軸ケーブルの接続の仕方が適正でないので、長さが正しく測定できていない。(同軸が短くなると、誤差が目立つようになる。) (2) 塩化ビニルの誘電率が500MHzあたりから急に大きくなる。(従って、速度係数が小さくなる。) そもそも、速度係数を計算する時に、普通に共振周波数(つまり一番低いピーク(ディップ)の周波数)を使わずにピークとピークの間隔を使ったのは、スペアナの周波数目盛りの低い方が信用できなかったからだ。 近々周波数マーカーを作ろうと思うが、とりあえず、出来るだけスペアナの下の方は使わないようにしていた。 しかし、測定結果がこれではそうも言っていられないので、一番下のディップの周波数を使って速度係数を計算し直したのが、上の表の「速度係数2」だ。 そんな測り方をするのなら、スペアナを持ち出すまでもなく、ディップメーターで測れば良いのだが、まあそう言わずに。 速度係数2をグラフにすると、下のようになる。 |
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大分まともなグラフになったので、こちらの方がより正しいだろう。 しかし、右下がりになっているのが、測定誤差か、塩化ビニルの誘電率の周波数依存性によるものかは、この測定結果からは区別できない。 ネットで調べてみても、塩化ビニルの誘電率は100MHz以下のものしか見つからない。多分、周波数が高くなると誘電損失も大きくなって、誘電率を測るのが面倒臭いのだろう。 しかし、塩化ビニルの分子中の塩素原子は重いので、周波数が高くなると電場の振動について行けなくなるだろう。 そうすると、塩化ビニルの誘電率は周波数が高くなるにしたがって小さくなると考えるのが妥当ではないか。 むしろ、速度係数は周波数と共に大きくなる方(グラフは右上がり)が自然だ。 一方、測定誤差が原因かと考えて、同軸の長さを補正してみても、グラフを水平または右上がりにすることは出来ない。 結局、はっきり分からないが、上の速度係数2の値が一番正解に近いと考えるしかない。 結論としよう。RG58U(外皮が黒い塩化ビニル)に網線をかぶせた場合、同軸の網線とかぶせた網線を通過する高周波の速度係数(短縮率)は200MHzくらいまでは0.56、それ以上の周波数では徐々に小さくなる。 シュペルトップを作る時は注意しましょう。 ところで、塩化ビニルの誘電率は2.8~8.0と幅が広い。さらに、添加物でも変化するだろう。 同軸の外皮は黒の他、灰色や白もある。これは、加えられた色素の色だから、色によって誘電率が違うことは予測できる。 上記の値は、あくまでも「外皮が黒い塩化ビニルのRG58U」でシュペルトップを作る場合の速度係数なので、他の同軸ケーブルについては保証の限りではない。 |
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今回もたくさんの残骸が出来てしまった。申し訳ない。 何か使い道を考えよう。 |
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