シュペルトップの短縮率(4)

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 同相電流計2号機

 バランやシュペルトップの測定にしか使えない、贅沢な機械だ。

 こいつを使って、5D2Vのシュペルトップの短縮率を調べる。
 高周波電流計にフィルタ(シュペルトップやバラン)をつないで、どの程度電流が阻止されるか調べる。

 それ以外の不確定要素は極力排除されるように、電流計に内蔵する。

 2mバンド(144MHz~146MHz)の真ん中、145MHzあたり、4分の1λ=51.7cmを中心に調べてみる。
 まずは(有りそうもない話だが)短縮率1.0から。

 縦軸は電流計の読み(μA 絶対値に意味はない)。横軸は周波数(MHz)。

 シュペルトップの寸法が51.3cm(出来上がり寸法が少し狂った。短縮率にすると、0.99に相当。)のとき。

 ほとんどフラットで、何の効果もないことが分かる。
 短縮率が0.66とした場合、シュペルトップの長さが34.1cmのとき。

 バンドから上の方にはずれたところにディップが有るかも知れないが、バンド内では関係なさそうだ。

 青と赤は測定器とシュペルトップの配置を変えて測定したデータ。ちょっと間隔を変えただけでも値が変わってくる。

 以下同じ。
 短縮率0.58、シュペルトップの長さが30.1cmの時。

 ディップが出ている。やはりこれが正解のようだ。
 ところで、これは同相電流計の入出力をショートした時の電流。

 青が5cm、赤が30cmの導線でショートした時の値。

 どちらも、140~143MHzにピークがある。

 これは送信機の出力の周波数依存性だろう。
 そこで、短縮率0.58のデータを、送信機出力の周波数依存性で補正してみる。

 当然だが、ディップがより明確になる。

 ディップは140~143MHzあたり、波長にすると、214cm~209cmになる。
  
 実際のシュペルトップの長さが30.1cmなので、短縮率は0.56~0.58ということになる。

 ディップが浅くて、一抹の不安が残るが、少なくともシュペルトップを作る時の短縮率が1.0や0.66ではなくて、0.57付近だということは断言しても良いだろう。



 とにかく、予想通りの結果で、以前スペアナを使って求めたのと同じだ。目出度し。


 ただし、以前も書いたが、同軸ケーブルの外皮は塩化ビニルだ。誘電率が重合度や添加物によって大きく変わる。

 この結果はフジクラの灰色の5D2V限定だ。もっとも、スペアナで求めた値は、RG58Uでもほとんど違いはなかった。