福井県今庄と滋賀県木ノ本を結ぶ国道の途中から夜叉が池方面に曲がる。真っ直ぐに東の方に車を走らせると、突き当たりに広野ダムがある。
 広野ダムを渡って、更に20分程進むと、キャンプ場の横を通って突き当たりが駐車場。
 駐車場は十分広い(バスで来る団体もある)が、休みの日はそれでもいっぱいになる事もあるらしい。当然、池の周辺はお祭りのよう。
 夜叉が池は雨の日が雰囲気があって良いし、人も居なくてゆっくりできる。カッパを着て歩くのが嫌いでなければ、そんな日に登るのも一つの選択か。
 鳥居をくぐって橋を渡ったところが登山口。
 初め少しだけ急だが、すぐに緩やかな道になる。しばらく進むと滝が見える。滝壺を回り込むように登山道がついていて、滝の上部に出る。滝の上部で2回程谷川を渡る。渡ってすぐにトチの木の大木がある。
 トチの大木のそばにはきれいな水が流れている。登るときにはさほど思わないが、汗びっしょりになって下山してきたときに、ここで顔や手足を洗うと本当に気持ちがよい。
 トチの大木を過ぎると、道は谷を離れて尾根に向かい、いきなり急登になる。それまでサクサク歩いてきたので、その調子で歩いているとばてる。
 結構しんどいが、所々にある案内を見ながら「うぃ〜、あと1500mか。頑張るぞ。」とか言っている内に、余程ゆっくり登っても2時間程で夜叉が池につく。
 今日はすこしガスっていたが、できればもう少し霧が濃い方がよい。天気の良い日はただの池だが、霧が立ちこめると幽玄な雰囲気で、「やっぱ夜叉が池はこれでしょ。」という感じになる。
 夜叉が池から三国岳へ行く途中に坂内村役場が設置した ライブカメラがある。この位置からだと、「夜叉が池」「夜叉壁」「三周ヶ岳方面」が一度に見える。
 ライブカメラは下手な迷彩がしてあって、見た目はあまりよろしくない。ネットで検索すると、景観を損ねる、とかいって否定的な意見も少なくない。しかし、夜叉が池からはかなり離れているので、このカメラに気づく人は少ないのではないだろうか。まあ、どこの山でも変な構造物がいっぱいあるので、そんなに目くじらを立てなくてもと思う。
 今日は三国岳まで行くつもりなので、笹藪をかき分けてどんどん歩く。道はよく踏まれていて歩きやすいのだが、笹がかぶっていて足下が見えない。調子に乗っていると足をくじいたりしそうだ。
 地図に山名は載っていないが幾つかピークがあって「夜叉ヶ岳」「夜叉姫ヶ岳」などと呼ばれているようだ。夜叉姫ヶ岳を越えたあたりで何匹かのスズメバチに取り囲まれたので、あわてて撤退する。今日のところは三国岳はあきらめよう。
 夜叉が池まで戻って、今度は三周ヶ岳方面へ向かう。こちらからも池がよく見える。家族連れらしい一団が食事中だった。
 今日の目的は「古池」探しなので、三周ヶ岳へは行かない。確か途中の岩の上から見えたはずと思って行ってみたが、さっぱりわからない。以前見たとき既に、池は湿地になっていた。どうやらしばらく見ない内に湿地がさらに藪になってしまったらしい。
 ともかく見当をつけて、登山道をはずれて窪地に下りてみる。近頃五十肩で左手が使えないので、雑木につかまりながら急斜面を下りるのはちょっと辛い。
 多分ここだろうと思われる窪地があったが、全くの藪だった。結局、古池探しもあきらめることにする。
 ほとんど休憩もせずに走り回っていたので、すっかりくたびれてしまった。夜叉が池のほとりでにぎりめしを食って、記念写真を撮って下山する。
 帰り道、新しくできた「木ノ芽峠トンネル」に迷い込んで、敦賀市に行ってしまった。まあ急ぐ旅ではなし、ぐるりと8号線を通って高時村に戻る。