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 退職して、私は結構早起きなので、朝お仏供さんをお供えして、食卓を整えて、味噌汁をつくる。しかし、かれこれ2年になるのに、妻のような味噌汁がつくれない。私の味噌汁には、すっきりした味わいがない。


 今朝のことだが、私が味噌汁をつくっているところに妻が起きてきたので、途中からまかせて、私はお茶など飲んでいた。

 やっぱり出来上がった味噌汁の味が違う。不思議だ。

 私が出汁をとって、キノコと油揚げを入れた。その後、妻はキャベツとわかめを入れて、最後に味噌を入れただけだ。

 なのに、出来上がってみると、妻の味噌汁の味だ。


 妻とも話し合ってみたが、妻にもハッキリは分からない。

 結局、結論らしきものは、私の味噌汁は、なにか「詰め」が甘いのではないか、気がつかないほど細かいことではないか、ということだった。

 キャベツの切り方や、キャベツとわかめの比率、味噌を入れるタイミング、妻は無意識にそんなことが最適化されているのではないか。

 それがプロというものだろう。神は細部に宿る、と、かの建築家も言っている。


 自慢じゃないが(自慢だが)、化学の実験なら、私にも同じ事が出来る。同じ実験でも私がやれば上手く行くのに、他の人ではダメだということはよくあった。

 それはビーカーの洗い方だとか、滴下の速さだとか、側で見ていても分からないくらい微妙な違いだったりする。


 仕事をしていて、上手く行かなかったとき反省するのは当たり前だが、上手く行ったときでも、「もっと上手くやるには、どうしたらよいか」考える。

 完璧100点は不可能だとしても、99点では満足しない。99.9点とるにはどうしたらよいか悩む。

 そんなことが出来るのは、その仕事が好きだからだろう。仕事は愛だ!